約 4,260,342 件
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/7429.html
なまえをきいてもわからない【登録タグ JASRAC管理曲 な ほぼ日P 初音ミク 曲】 作詞:ほぼ日P 作曲:ほぼ日P 編曲:ほぼ日P 唄:初音ミク 曲紹介 ほぼ日Pの110作目。 秋の黄昏時を曲にしてみました。(作者コメ転載) ドラえもん10巻に収録されている短編「弟をつくろう」が元ネタ。 歌詞 釣瓶落とし秋の夕暮れ 枯れ葉を踏みしめ帰り道 黄昏どき薄寒い中 子供が公園で泣いている 心配で声かけてみても 泣きじゃくってて顔を上げない おうちはどこかを聞いてみても 首振るばかりで埒(らち)開かない どうしてあなたは泣いているの あなたはどこからここに来たの どうしてあなたはここにいるの 誰かの帰りを待っているの ようやく少しずつ泣きやんで 私の話も聞いてくれた お母さんはどこかと聞いたとき 私を指差し顔を上げた どうして私を指で指すの 私は全く覚えがない 私が忘れてしまっているの この子の名前は何というの どうして私はここに来たの どうして私はここにいるの この子は何時からここにいるの この子の名前は何というの 子供の名前忘れるなんて 自責の思いに胸が軋(きし)む 自分の子供忘れるなんて どれほど私は罪深いの 名前を聞いてもわからないし おうちを聞いても覚えてない 私が誰かもあやふやだし 自分の名前思い出せない どうやらこの子は私の子で うっかり失念してたようだ 私の名前は何でしょうか この子の名前は何でしょうか コメント ドラえもんの10巻読んでみたいww指差しの所で鳥肌がたった -- 名無しさん (2011-11-27 15 55 18) あの話か…!読んだあとめっちゃ怖かった -- すがり (2013-11-09 22 08 31) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/srwkdm/pages/460.html
31代目スレ 2010/4/8 ■ ミズル・グレーデンは思わず聞き返した。 「だから」 エマーン人の女の子が触覚をもじもじさせながら呟く。 放課後の、校舎裏だった。半分眠りながら校門の掃除をしていたミズルは、突然わけも わからずここに連れてこられると、「好きです」と告白された。 「え、誰かと間違えてない?」 「ううん、ミズルくんなの。ミズルくんがいいの」 「えぇ~と」 「イヤなら、断ってくれていいから」 「べつに、ヤじゃないけどさあ」 エマーン人の子がぱっと顔を輝かせた。 「じゃ、いいのね!」 ミズルはわけもわからずカクカクと頷いた。 ■ マーくんの事務所は、いつも薄暗い。ブラインドからわずかに差し込む日光が、棚に ずらりと並べられた金メッキのオモチャに反射してキラキラしていた。そういう、少し インモラルな香りがするこの空間を、ミズルは結構気に入っていた。 「は、コクハクされた?」 「うん、そうなんだよ」 「なに、ミズッちゃん、そのコになんかいいことでもしたの?」 「や、覚えはないんだけど」 「ワナだね」 ビジネスロボットのマーくんは3歳にもなっていないのに、考えることがシビアだ。 宇宙で作られて、この町に流れ着くまでなにかとあったのだろう。いったいなにがあった のかミズルは訊いたことがないし、マーくんも語ろうとしない。勉強が苦手なミズルと 違ってマーくんは賢いから、きっと聞いてもわからないだろう。 「罠かな」 「そーだよ。だって、なんもしてねーのに好かれるなんざー、 そんな都合のいーことあるわけねーじゃん。 ミズッちゃんの絵に金銭的価値があることに気付いて、青田刈りするつもりなんだよー」 「やっぱそうかな」 いわれてみれば、あのエマーン人の子に好かれる理由なんてひとつも思いつかない。 「罠だね」 携帯ゲーム機を血走った目で見つめながら呟いたのは、ミツハル・イスルギさんだった。 ミツハルさんはまだ若いのに社長で偉いのに、ミズルが見るときには常に携帯ゲーム をやっている。ここ最近は口を開けば『ラブプラス+』の話しかしない。 「ラブレターもらったと思って浮かれて校舎裏に行ってみたら、 クラスメイトが全員ニヤニヤしながら待ちかまえてる。 僕が5、6回引っかかった手さ」 「なに5回も6回も引っかかってんだよー、そんな手に」 「あのね、ラブレターじゃなくて直にいわれたの」 「それは新しいパターンだね」 ミツハルさんもマーくんも、懐疑的な視線を崩そうとしなかった。 「まー、ケイカイシンは解かねーことだよ」 「クラスメイトがニヤニヤしてる現場を発見したら僕らにいいたまえ。 イスルギの縄張りで経済活動出来ないようにしてやるから」 「ミズッちゃんをいじめるよーなヤツぁー、おれが許さねーよ」 「うん、まあ、気を付けるよ」 ミズルは釈然としない気持ちのままマーくんの事務所を後にした。 ■ マーくんもミツハルさんもああいっていたけれど、クラスメイトがニヤニヤしている 現場に会うことはなかった。 あの日から、ミズルは毎日エマーン人の子と一緒に下校することになった。 「ミズルくんは、なにが好き?」 「ええと、カレーライスかな」 「じゃあ、あたしも」 マーくんたちのいうような罠はないようだけれど、ミズルにとっては落ち着かない時間 だった。女の子相手にどんな話をしたらいいのか、皆目見当も付かない。こんなことなら マーくんと一緒にゲームをしている方がずっと楽だし面白かった。 「ねえ、ミズルくん」 ぴとと、ミズルの指先に生温かいものが触れる。 「ひゃっ」 ミズルはとっさに手を引いた。 すると、どういうわけかむくれたエマーン人の子の姿がそこにあった。 「もうっ!」 「なに?」 「ミズルくん、全然楽しそうじゃない!」 「えぇと」 そりゃあ、実際楽しくないんだから仕方がない。でもそのことを言ってしまうと今度は 本当に怒らせてしまいそうで怖かった。 「ミズルくん、全然あたしのこと好きじゃない!」 「えぇっとぉ」 「もういい! ミズルくんなんて大嫌い!」 たったっ、とエマーン人の子は駆け去ってしまう。 ミズルは「ありゃまあ」というしかなかった。 ■ わけもわからず告白されてわかもわからず付き合う羽目になったと思ったら、わけも わからずフラれてしまった。 「なんだったんだろう、あれはいったい」 「だから、ワナだよ、ワナ。ミズッちゃんはモテアソばれたんだよー」 「遊んだにしても、楽しそうじゃなさそうだったけどなあ」 「いーじゃん、ミズッちゃんにゃーおれがいるんだからさー。 いーからおれと遊んでよーよ」 「まあ、おれはその方が楽しいからいいんだけど」 「だろー?」 ニカッと、マーくんが笑う。 ■ 次の日学校に行くと、エマーン人の子は昨日と変わらない笑顔で「おはよう」と挨拶を してきた。 女の子ってわからない。 自分はやっぱり、当分彼氏とか彼女とかそういうのはいいやとミズルは思うのであった。
https://w.atwiki.jp/i_am_a_yandere/pages/1538.html
50 :私は人がわからない ◆lSx6T.AFVo :2010/04/09(金) 16 37 27 ID TmKKkU8J 人の居なくなった放課後の教室で、私はひとり自分の席に座っていた。 開け放たれた窓からは、冬特有の冷気を帯びた暖かい風がカーテンを揺らしていて、とても心地が良い。 今日は休みなのか、いつも聞こえる運動部の喧騒も、グラウンドからは聞こえない。教室内にはカーテンがはためく音が聞こえるだけで、不気味なほどに静かだった。 この世界で自分しか居ないみたいだ、なんてありふれた言葉が頭に浮かぶ。こういう言葉は嫌いじゃない。 私はそこで思い出したように、ポケットに入っている便箋を取り出した。 いつもなら、授業が終わると真っ直ぐに帰宅してしまうようなこの私が、こんな誰も居ない教室にひとりで残っているのには理由がある。この一通の手紙が原因だ。 今朝、いつものように登校してきた私は自分の下駄箱にこの便箋が入っているのを発見した。便箋は上履きの上に丁寧に置かれていて、まるで私のことを待っているかのようだった。 昨日下校した時はこんな手紙を見ていない。ということは昨日私が帰った後に入れたか、それとも今日の早朝に私が来る前にでも忍ばせたのだろう。 どちらにしろ、無視する訳にはいかない。 私はそれをポケットに入れて、そのまま教室には向かわず、人気が少ない非常階段で一人便箋を確認した。 便箋は青色の可愛らしい花の模様がついたもので、宛先のところに“鳥島くんへ”と私の名字が書かれていた。 中に入っている手紙も同様に、青色の四方に花がプリントされているものであり便箋とセットであるのがわかった。 手紙には私に放課後、教室に残っていて欲しい事が簡素に書かれていて、刻まれている丸っこい筆跡から、差出人が女子であることが推測出来た。 一体、何の用なのだろう。そんな疑問が頭に浮かぶが、私はこれを無視する理由も無かったので、結局こうやって放課後に待つことにしたのだ。 風がいっそう強く吹いた。 私は取り出した便箋の中から手紙を抜き出し、書かれている女子特有の丸っこい文字の羅列を眺めながら、手紙の差出人について考える。 51 :私は人がわからない ◆lSx6T.AFVo :2010/04/09(金) 16 38 27 ID TmKKkU8J 手紙には差出人の名前が書かれていない。それが書き忘れなのか、故意にやっているのかはわからない。しかし、私はそれが一番に知りたい情報だったので少し残念だった。 名前の有無は重要だ。名前が無いということは差出人がわからないということなのだから。 差出人がわからないと呼び出した理由についても全く予想が出来ない。名前が無いせいで、朝からずっと何故呼び出されたのかを考えているのに私に全くわからなかったのである。 何故、私を呼び出したのだろう。 相手が誰なのかがわからない。なので予想しようにも出来ないのだが、それを差し引いても私には、誰かに呼び出されるような理由なんて全くなかった。 私はクラスではあまり目立つほうではない。友人は居るが、どれも皆浅い関係に留まっており、親友と呼べるような存在も居ないのだ。 特に女子とは全く会話をしていない。 高校生というものはクラスではあまり男女が仲良くしないものだ。仲良くするのはあくまで学校外である。私もその暗黙の了解にきちんと倣っていたので、高校で女子と話をしたことなど、斎藤ヨシヱを除いて数えるほどしかなかった。 だから、今日私を呼び出した相手も、おそらく男子なのだろう。 私以外誰も居ない、空になった教室を見渡した。誰もいないということは、呼び出されたのは私だけということになる。つまり、私個人に用があるということだ。 教師に放課後呼び出されるのとは勝手が違う、つい幾らか警戒してしまう。 私は黒板の上に設置されている時計を見る。短針はもうじき6を指そうとしていた。そういえば、いつの間にかカーテンの隙間から差し込む夕日も黒みを帯び始めていた。あまり遅くなって欲しくないな、と私は思った。 それから、廊下からぱたぱたと誰かが歩く音が聞こえてきた。 私は手紙を再びポケットにしまうと、じっと教室のドアを見つめ、来訪者を待った。 ドアがカラカラとローラー音と共に開く。 現れたのは随分と身体の小さい、小動物を連想させるような少女だった。髪は肩程までに短く切られていて、その小さな顔には不釣り合いな程の、大きな黒縁眼鏡をかけられている。 彼女には見覚えがあった。確か、同じクラスの田中キリエだ。 「ご……ごめんなさい。いきなり呼び出したりしちゃって」 田中キリエは申し訳なさそうにそう言った。 52 :名無しさん@ピンキー:2010/04/09(金) 16 39 41 ID TmKKkU8J 謝罪したその声は、彼女の印象に違わないとても小さな声だった。注意深く聞いていないと、聞き逃してしまいそうなほどである。その口ぶりからするに、どうやら呼び出したのは彼女で間違いないようだ。 彼女は後ろ手でドアを閉めると、私の近くまでとことこと歩いて来た。 そして、そのまま彼女は黙りこくってしまう。時折私の顔をちらちら見たりはしているが、何も話さない。 彼女は指を弄ったりしていて、どうにも落ち着きがなかった。それに、顔も少し熱気を帯びているようにも見えた。もしかしたら風邪気味なのかもしれない。 当の私はまさか差出人が女子だとは思っていなかったので、田中キリエの登場にかなり困惑していた。 それから疑問に思う。何故田中キリエは私を呼び出したのだろう。彼女と私はあまりに共通点がなかったのだ。 田中キリエに限らず女子全般に対してそのことが言えるのだが、彼女とはせいぜいクラスが同じというだけで、今まで話をしたこともなかったはずだ。決して、放課後に呼び出されるような関係では無い。 それに、田中キリエは自己主張の少ない、友人の話に微笑んで相槌を打っているような静かな少女である。そのためか、人を呼び出すという行為自体が、私にはどこか不自然に感じた。 「あっ……あの、もしかして……迷惑でしたか?」 無意識の内に難しい顔をしていたのかもしれない、田中キリエは怖々といった感じでそう尋ねた。 「いえ、そんなことはありませんよ」 私は即座に笑顔で応じる。この手の性格は不安や緊張感を抱かせてしまうと話が円滑に進まない場合があるので、彼女を不安にさせるのはあまり得策ではなかった。 「……よかった」 田中キリエは安堵したようにそう言うと、また黙ってしまった。 カーテンの音がうるさいと感じるくらい、静かだった。 このままでは拉致があかない、そう思った私は仕方がないので自分から話し掛けることにした。斎藤ヨシヱを除いて、女子と話をするのは得意ではなかった。 「田中さん……でしたよね?」 「はっ……はい」 「どうして私を呼び出したのでしょうか?呼び出すということは、何か私に用があるはずでしょう」 流石に用もないのに人を呼び出したりはしない筈だ。 「えっ、あの、それは……」 本題に入ろうとすると、田中キリエは明らかに動揺してしまい吃ってしまった。 53 :私は人がわからない ◆lSx6T.AFVo :2010/04/09(金) 16 42 22 ID TmKKkU8J 人には言いにくい話なのかもしれない。ここは下手に話し掛けたりせずに、黙って彼女の言葉を待った方がいいな、と私は思った。 黙って彼女の言葉を待つことにする。 「…………」 長い沈黙が流れた。 ふと時計を見ると、短針は6と7の間にまで移動していた。体感しているよりも時間が経っているようだった。 いつの間にか夕日も既に消え、漆黒の闇が徐々に教室を侵食し始めている。 教室も暗くなってきたので、私は電気をつけようと思い、一歩、足を踏み出した。 その行動が彼女に、私が帰ってしまう、と感じさせたのかもしれない。 とにかくその一歩が彼女が話し出すきっかけになったのだろう、唐突に田中キリエが言った。 「……好きです」 呟くような声だった。あまりにも小さい声だったので今のは独白ではないかと思い、私は再び尋ねた。 「今、好きだと言いましたよね?」 無言で頷く。どうやら独白ではないらしい。 「誰が、好きなのですか?」 私が再び尋ねると、田中キリエの身体が一際大きく震えた。それから彼女は搾り出すように言う。 「……あ、あなたです。……鳥島くんです」 私はびっくりした。 「私がですか?」 「……はい」 「……」 「だから、その……良かったら、私と、あの、付き合ってください……」 言いたいことは言い終えたのか、田中キリエは顔を真っ赤にして、これで終わりだと言うように俯いてしまった。 そんな彼女に告白された私は、素直に驚いていた。 54 :私は人がわからない ◆lSx6T.AFVo :2010/04/09(金) 16 43 23 ID TmKKkU8J 彼女が私の事を好きだという事実が頭の中でぐるぐるしている。まさか告白されるとは思っていなかった。 いや、冷静に考えてみれば今朝の手紙といい今までの彼女の態度といい、確かに告白するための伏線はしっかり張られていたのだ。気づかない私のほうが鈍感だったのだろう。 しかし、そんな私を責める者はひとりもいない筈だ。私は先程も述べたように女子とは交流の全くない、地味な一介の男子学生なのだ。 そんな者が、誰かに告白されるなんて普通は考えもしないだろう。勿論、異性から告白されるのも、私はこれが初めてだった。 ――しかし、どうして。 私は目の前の田中キリエを見る。彼女の背はとても小さいので自然と見下ろす形になってしまう。 室内は既に暗くなっているため、その表情までは伺えないが、赤くなっているのだろうと私は勝手に考えた。 顎に手を当てて逡巡する。今まで、恋愛沙汰からは程遠い存在だと思っていた自分は、そういう恋愛事について真面目に考えたことはなかった。 正直、田中キリエのことはよく知らない。彼女は私のことを知っているのかもしれないが、私は知らないのだ。 相思相愛など、今時の恋愛事情からすると夢物語になりつつある。 基 55 :私は人がわからない ◆lSx6T.AFVo :2010/04/09(金) 16 46 08 ID TmKKkU8J 基本的に恋愛というものはどちらか片方が好きになって、片方は大して好きでもないが、とりあえずオーケーして付き合ってから相手のことを徐々に知っていく、といったスタンスになっている。そんな風に付き合う友人達を私は多く見てきた。 そのことについてとやかく言うつもりはない。相思相愛など、今でも昔でもそれこそ稀なのだから、寧ろそういうほうが普通なのだろう。 だから今、私もとりあえず付き合うといった選択肢をとれるのだ。 けれど、私の答えは告白された時から、ずっと決まっていた。 私は居住まいを直し、きちんと彼女向き直ってから言った。 「御気持ちは凄く嬉しいです。」 田中キリエは黙っている。 「誰かに告白されるなんてことは初めての体験でしたからね。正直、夢のようです。ですが、すいません。私は貴女とは付き合えません」 私は、彼女の告白を断ることにした。 第一の理由としては、私はまだそういう恋愛事をうまく理解していなかったからだろう。第二に、私は誰かに好かれるような人間ではない、と思ったからだ。彼女はあまりに私を知らない。 56 :私は人がわからない ◆lSx6T.AFVo :2010/04/09(金) 16 47 05 ID TmKKkU8J 返事を言い終えると、彼女はハッと息を呑んで私を見上げた。その顔はまるで世界の終わりみたいに絶望に歪んでいる。本当に、今にでも死んでしまいそうな表情だった。 罪悪感がちくりと私の胸を刺す。 そんな罪悪感と同時に、私は少し彼女に対して違和感を感じた。なんとも形容し難い、微妙な違和感が。 しかし、大して気にもならなかったので無視することにする。 しばしの沈黙の後、田中キリエは無理矢理口端を上げて、力なく笑ってみせた。それは随分と痛々しい笑顔だった。 「ははは……そう、ですよね。あの、本当にごめんなさい。勝手に鳥島くんのこと好きになっちゃって……ほんと……わたし、迷惑ですよね……はは」 みるみる彼女の目に涙が溜まっていく。私の心もちくちくと痛む。 「迷惑なんかじゃなかったですよ。先程も言いましたが、お気持ちは凄く嬉しかったです」 なら、なんで断るんだ。などと彼女は当然言わない。 暫くの間、田中キリエの嗚咽だけが教室に響いた。私は只、彼女のことを見ていた。 それからして、漸く落ち着いたのか、彼女はその大きな黒縁眼鏡を外し、涙を拭ってから静かに言った。 「ほんとっ……ごめんなさい。今日のことは、その、忘れちゃっていいですから。……これからも特に、私のことは、意識しないで、普段通りに、接してくださいね」 接するも何も、貴女とは接したこともないだろう、とまず思った。それに、忘れてしまっていいというのも、何とも奇妙に感じた。今のは彼女にとっては忘れてしまってもいいような行為だったのだろうか。 そして、軽く私に会釈してから、彼女は逃げるように教室を出て行ってしまった。 結局、田中キリエは私が断った理由を聞かなかった。 彼女の足音が聞こえなくなってから、私は時計を見た。暗闇のせいで見えにくくなっていたが、短針が7を指しているのをなんとか確認した。 この時間ではもう斎藤ヨシヱは帰ってしまっただろう。彼女に今日の事を相談したいと思っていたが仕方がない。明日にしよう、と私は思った。 私は机の上の鞄を取り、教室を出た。そこで思い出し、教室に戻るとポケットから田中キリエの手紙を取り出す。 私は手紙をドア近くに設置されていたごみ箱に捨てると、今度こそ教室を出た。
https://w.atwiki.jp/ws_wiki/pages/8978.html
autolink() KLK/S27-P03 カード名:わけのわからない満艦飾一家 カテゴリ:キャラクター 色:黄 レベル:1 コスト:0 トリガー:0 パワー:5000 ソウル:1 特徴:《家族》? 【自】[手札を1枚控え室に置く]このカードが手札から舞台に置かれた時、あなたはコストを払ってよい。そうしたら、そのターン中、このカードのパワーを+3500。 レアリティ:PR 2014年7月ショップ大会 参加賞
https://w.atwiki.jp/i_am_a_yandere/pages/1671.html
61 :私は人がわからない ◆lSx6T.AFVo :2010/06/28(月) 14 20 22 ID Gejk2pPM 放課後、私は斎藤ヨシヱの元を訪れることにした。 まだ人の減らない本校舎を抜けて、一階の隅にある長い渡り廊下を目指す。 本校舎と部活棟を繋ぐ通路は、この一本しかない。そのことが、部活棟の存在を更に希薄にしている気がした。 そもそも、この高校は部活動があまり盛んでない。 体育系文化系を問わず、どの部活も平等に弱小で、県大会出場はおろか地区大会一勝すらしたことがなかった。 その上、まがりなりにも進学校で通っているため、大半の生徒が部活ではなく勉学に走ってしまう。かくいう私も、その内の一人だった。 本当は、仲間達と共に汗をかき、切磋琢磨し合いながら部活動に打ち込んでいく、そんな学生らしいことに憧れていたりするのだが、自分じゃそういうことが出来ないのはわかっていた。私は、少し違う。 渡り廊下に着いた。 寒風から守ってくれていた本校舎を出て、寒空の下へと身を投げこんでいく。 前々から言っていることだが、私は寒いの苦手だ。 冬の寒さに首を縮こませながら、一刻も早く目的地に着いてしまおうと、足早に渡り廊下を進んで行く。 そして、しばらく歩いていると、老朽化の目立つ、黒ずんだクリーム色の壁が視界に入ってきた。 部活棟の壁だ。 私は、目の前の建造物を見上げてみる。 62 :私は人がわからない ◆lSx6T.AFVo :2010/06/28(月) 14 21 30 ID Gejk2pPM この部活棟は主に文化系部活のためのものだった。 体育系部活に関しては、利便性を考慮してグラウンド前に設置されているプレハブ小屋が使われている。 一般の生徒でこの部活棟を訪れる者は、まずいない。 学内で仲間外れにされたように位置する此処は、校門とは真逆の方向にあるし、寄り道するにも少し遠すぎる。 私自身、斎藤ヨシヱのことがなかったら一生訪れなかったかもしれない。 ここの唯一の入口であるガラス戸を開け、中に足を踏み入れる。 その瞬間、世界から全ての音が消えた。 本校舎から聞こえていた居残っている生徒の声も、グラウンドや体育館からの部活動の喧騒も全て。 どうして、放課後の部活棟はこんなにも静かなのだろうか。 私はここを訪れる度にそう思った。 廊下に連なる部室の扉の中にも、部活動に勤しんでいる生徒達が沢山居るはずなのに。辺りはまるで防音対策がされているかのように静まり返っていた。耳鳴りがしてしまうほどだ。 やけに足音の響くリノリウムの床の上を歩きながら、茶道室を目指す。 茶道室は、この部活棟の最上階である二階の一番奥に位置していた。 階段を昇り、夕日が差し込むオレンジ色の廊下を歩いた。 茶道室には直ぐに辿り着けた。 私はサムターン式の鍵がついた扉の前に立ち止まり、ドアノブに手をかける。鍵はかかっていないようだ。 なるべく音をたてないように、ゆっくりとドアノブを手前側へと引いていく。 キィ、と金属が軋む音をたてながら、扉は開いていった。 徐々にひらけていく視界。 その中に、斎藤ヨシヱは居た。 彼女は窓枠に肘をつき、湯呑みを片手に持ちながら、気怠そうに虚空を見上げていた。 63 :私は人がわからない ◆lSx6T.AFVo :2010/06/28(月) 14 22 37 ID Gejk2pPM いつもの彼女だ。最後に会った時から何ひとつ変わっていない。 なのに、私は彼女に声をかけることが出来ずにいた。 この室内を支配する静寂を破ってしまうことで、目の前に映るこの優美な光景も壊れてしまう気がしたのだ。 斎藤ヨシヱは美しい人だった。 鋭い光を宿した切れ長の瞳。 しみひとつ無い、白雪のように真っさらな肌。 背中にまで垂れる長い髪は、その素肌とは対照的に墨を零したように真っ黒で、何を塗ったらそうなるのか白い光輪がとりまいている。 およそ高校生らしい幼さの残る可愛さなどは微塵も無く、完成された美術品のような、気品を感じさせる美しさが彼女にはあった。 呼吸をするのを忘れていたことに気付く。それほどまでに、目の前の光景に目を奪われていたらしい。 しばしの間、斎藤ヨシヱの整い過ぎた横顔を見つめる。 どのくらいの時間が経っただろうか。 彼女は漸く私に気付いたようで、その切れ長の瞳をゆっくりと私の方へと移動させた。 そして私を視認すると、薄く口角を吊り上げて、いつもの人を小馬鹿にしたようなシニカルな笑みを浮かべる。 「こんにちは。久しぶりね、タロウ君」 氷を連想させるような、冷え切った声。 「こんにちは、斎藤先輩。本当にお久しぶりですね」 私は軽く会釈をすると、靴を脱いで畳に上がった。 そして部屋の隅に積まれている紫座布団を一枚持って、彼女の前でそれを敷き、その上に座った。 それきりだった。 二人の間に、特に会話は無い。 斎藤ヨシヱは気が向いた時にしか私と話さないし、私自身も無理に彼女と話をしようとは思わなかった。 一日中会話をしないまま、そのままお開きになるなんてことも、決して少なくはない。 私は、彼女の側に置かれている急須等のお茶セットを見た。 今日は、お茶を出してくれないみたいだな、と思った。 茶道室を尋ねた時は、必ず最初に彼女がお茶を出してくれるかどうかを確認するのが常だった。 斎藤ヨシヱは、機嫌が良い時は私にお茶を振る舞ってくれるのだ。 今日は出してくれないみたいだけど、別段不機嫌という風にも見えないので、可もなく不可もなくといったところなのだろう。 64 :私は人がわからない ◆lSx6T.AFVo :2010/06/28(月) 14 24 05 ID Gejk2pPM 私は彼女の機嫌確認を終えてしまうと、何となく手持ち無沙汰になり、いたずらに視線をさ迷わせていた。 ふと、斎藤ヨシヱの脚が目に入る。 スカートから伸びる彼女の長い脚には、ソックスが着けられていない。 そのせいか、陶磁器のように白い肌が、畳の緑色に反してよく映えていた。 斎藤ヨシヱは畳に上がる時、必ずソックスを脱ぐ。 理由は知らない。 何故ソックスを脱ぐのかを聞いてみたかったりするのだが、彼女の脚に多大なる感心を寄せていることを悟られてしまうのは非常に不本意なことなので、未だに聞けずにいる。 私が彼女の脚をまじまじと見つめていると 「二週間振りくらいかしら」 と、斎藤ヨシヱが不意にそんなことを言った。 一瞬、独白かと思って黙っていたのだが、彼女がちらりと私に視線を寄越したことで、どうやら話し掛けていたらしいことに気付く。 「ええ、そのくらいになると思いますよ」 慌てて相槌を打ってみたけれど、彼女は何の反応も示さずに、黙ってお茶を啜った。 会話を広げる気は無かったみたいだ。 しかし、せっかく見つけた会話の糸口。このまま終わらせるのも少し惜しい。 私は自分から話し掛けてみることにする。 「そういえば、斎藤先輩って茶道部なのにちゃんとしたお茶をたてたりしませんよね」 私は、彼女の側に置かれている電気ポットを見ながら言った。 「もしかして、本当はたてれなかったりします?」 「別にたてれないわけじゃないわよ」 私の問いに、斎藤ヨシヱはあっさりと否定する。 「ただ、お茶をたてるのには色々と準備が必要で凄く面倒なの。その上、大して美味しくもないからたててないだけ。最初に興味本意で一度やったきりで、それからは触ってもないわ」 「随分とまあ、茶道部員らしかぬ言い草ですね」 「そうね」 そこで再び、彼女との会話が途切れた。 毎度思うが、斎藤ヨシヱとの会話はいつも絶望的なまでに広がらない。 彼女は基本的にお喋りじゃないし、加えて気まぐれだからなあ。それとも、まだ私との好感度が高くないのかしら。 65 :私は人がわからない ◆lSx6T.AFVo :2010/06/28(月) 14 25 25 ID Gejk2pPM そうやって次の会話のタネを考えていると、ふと、頭の隅にひっかかるものがあった。 そういえば、彼女に聞きたいことがあった気がする。 なんだったっけ。 しかし、意外とすぐにそれは思い出せた。 「斎藤先輩。ひとつ聞きたいことがあるんですけど、よろしいでしょうか?」 斎藤ヨシヱは何も言わず、目だけで先を促した。 それでは、と私は居住まいを直し、しっかりと彼女の瞳を見据えた。 なるべく真摯な態度で聞かなければ、ふざけていると思われるかもしれないからだ。 私は真面目っぽく、重々しい口調で言った。 「斎藤先輩は、私が誰かから好かれるような人間に見えますか?」 ゆらゆらと湯呑みを揺らしていた彼女の手が、接着剤みたいにピタリと止まった。 それから長い間をおいて、探るように聞く。 「それは、どういう意味の好きなのかしら?一概に好きと言っても、様々な意味の好きがあるけれど」 「うーん、そうですね……」 私は、ふむと顎を撫でた。 「しいて言えば、ライクではなくラブのほうの好きです」 「Love」 彼女は流暢な発音で言い直した。 「つまりは恋愛の好きということね」 「そうなりますね」 「そう」 彼女は持っていた湯呑みをコトリと盆の上に乗せた。 「……そう」 そして悲しげに目を伏せて、そっと口元を手で覆う。 私に背を向けるようにくるりと半回転すると、小さく肩を落とした。よく見るとその肩は小刻みに震えている。 「……先輩?」 斎藤ヨシヱの突然の異変に、私は大いに戸惑った。 いきなり、どうしてしまったのだろうか。 お腹でも痛くなってしまったのだろうか、と最初に思った。 いや、そうじゃない。 私は思い直す。 どうせ私のことだ。無意識の内に彼女を傷付けることでも言ってしまったのかもしれない。昔から、そういうことは多々あった。 「すいません、先輩。気を悪くさせてしまったみたいで」 私は思わず、彼女の肩に手を伸ばした 「……んっ?」 のだが、異変に気付き、伸ばした手を途中で止める。 何か、聞こえた。 「……ふっ、ふふふ……」 それは、押し殺すような小さな笑い声。 斎藤ヨシヱの口元から、くつくつと笑い声が漏れ出ていた。 66 :私は人がわからない ◆lSx6T.AFVo :2010/06/28(月) 14 26 45 ID Gejk2pPM 「……やだぁ、おかしい……くくく……お腹、お腹痛い……たっ、タロウ君……ちょっと待って……」 …………。 待てと言われたので、おとなしく待つことにする。 それから、十分後。 そこには、いつも通りの皮肉な笑みを浮かべた斎藤ヨシヱがいた。 しかし、その笑顔はどこか不自然に歪んでいる。というか、全然シニカルじゃない。頬の辺りがぴくぴくと引き攣っている。 「ちょっとタロウ君。いきなり笑わせないでくれるかしら。あたし、こう見えても結構キャラって重視するほうなのよ」 そうだったのか、と私は思った。 それなら随分と申し訳ないことをしてしまったみたいだ。 すいません、と私は素直に頭を下げる。 「本当よ、全く。もうあんなこと言うのは金輪際止めてよね。あんな……あんっ……くっ……ふふっ……あはは」 ……さらに十分後。 「ああー、笑った笑った。こんなに笑ったのは久しぶりね。ありがとう、タロウ君。おもしろかったわよ」 「……どうも」 斎藤ヨシヱは急須を手に取ると、湯呑みにお茶を注ぎ、私に手渡してくれた。 私は、ありがとうございますと礼をして、湯呑みを受け取った。 どうやら機嫌が良くなったらしい。 確かに、彼女は過去に例が無いくらい上機嫌に見えた。 別にニコニコと微笑んだりしているわけじゃないが、何と無く楽し気なオーラが発せられているのを感じる。 「それで、質問だったわね」 そんな和やか雰囲気とは打って変わって、斎藤ヨシヱの顔が急に真剣なものに変わる。 切替の早い人だな。 私も幾らか緊張しながらも、聞く姿勢を整えた。 「質問は、あなたが異性から好かれるかどうか、で合ってるわよね?」 「はい」 「そう」 彼女はそこで、思い出し笑いのように一度笑ってから、ゆっくりと口を開いた。 答が告げられる。 「そんなの、無理に決まってるじゃない。あなたみたいな人間が誰かに好かれるなんて、不可能よ」 量刑を宣告する裁判官のような口調で、斎藤ヨシヱはそう断言した。 彼女の宣布に、私の心がずんと沈むのを感じる。 不可能、か……。 薄々、そんなことを言われるのではないかと予想はついていたけど、実際に言われるとやはり傷付く。 そんな、不可能とまで言わなくても……。もうちょっと、希望を残す言い方をしてくれてもいいじゃないか。 67 :私は人がわからない ◆lSx6T.AFVo :2010/06/28(月) 14 28 10 ID Gejk2pPM しかし斎藤ヨシヱは、そんな傷心中の私にも構わず続けた。 「いい、タロウ君?人間関係に置いて最も重要なのは相互理解よ。相手のことを理解し、相手にも自分のことを理解してもらう。そういう感情的な対応を含む、個人と個人との関係において人間関係は成立しているの 「あなたにはわからないと思うけど、他者を理解するのはとても難しいことなのよ。自分ならともかく、相手を完全に理解するなんてそれこそ無理なのだから当然ね。 「けど、人間というのはそれでも相手を理解していこうとしていく。そういう性を持つ生き物なの。けれど、あなたは――」 斎藤ヨシヱは、不敵に微笑む。 「他人どころか、自分のことすら理解していないじゃない。そんな人間が誰かに好かれるかだなんて、ちゃんちゃらおかしい話ね。本当、戯言も甚だしい」 斎藤ヨシヱは、まるでそのことが不変の真理であるような言い方をした。 一片の毀れも感じない、揺るぎのない自信を感じる。 彼女はきっと、私が人に好かれるのと明日地球が滅びるのとじゃ、間違いなく後者を選ぶことだろう。 「……はぁ」 私はそこで一度、大きく溜め息をついてみせた。 勿論、わざとだ。 自分の不機嫌さをこれっぽっちも隠そうともしない。 こういう態度をとるのは我ながら珍しいことなのだが、しかし彼女の言い方はとても癪に障った。 さすがに、今のはカチンときた。 「あら?どうしたのタロウ君。なんだか怒っているみたいだけど」 「怒っているんです」 誰だって、二日連続で化け物扱いされたら不機嫌にもなるだろう。 私は苛立ちを含んだ口調で言った。 「先輩は時たま、私のことを何の心も無いロボットみたいに言う時がありますけど、はっきり言ってそれは間違いですよ。全然違います。 「確かに、私には人がわからない時がありますよ。それは認めますけど、だからと言って、そのことが私に感情が無いということに繋がるわけではないでしょう?現に今だって、先輩の言葉に怒っているじゃありませんか」 「それも演技かもしれない」 「演技って――」 腹の底から込み上げて来た言葉を、なんとか飲み込む。 少し、熱くなりすぎていた。私らしくもない。冷静になれ。 心を落ち着かせるために、長く、深い息を吐いた。 68 :私は人がわからない ◆lSx6T.AFVo :2010/06/28(月) 14 30 07 ID Gejk2pPM 斎藤ヨシヱは、そんな私の様子を冷めた目で見ながら、愚者を説き明かすように続けた。 「だっておかしいじゃない。感情はあるのに人がわからないなんて。はっきり言って矛盾してるわよ」 「矛盾?」 私は繰り返した。 「そうね……」 何やら思案顔で彼女は言う。 「タロウ君、あなた痛覚はある?」 「あるに決まってるじゃないですか」 「あら、そうなの?それは驚きね。けど、それなら話が早いわ」 斎藤ヨシヱはそう言うと、いきなり自らの腕に爪をたて、思い切り皮膚を引き裂いた。 荒々しい切傷が一つ出来、赤黒い血が一筋、白い肌を伝っていく。 「タロウ君。あなたはこの傷を見て、これがどの程度の痛みかがわかる?」 「えっ?ああ、はい」 忽然の出来事に、呆気にとられていた。 「まあ、漠然とですが一応」 「そうよね。では何故、あたしが負っている傷を、当事者でないタロウ君が憶測することが出来るのか。それは、まず大前提としての“痛覚”それと“経験”があなたにはあるからよ」 「“痛覚”と“経験”、ですか……」 何やらまた小難しい話が始まったな。 「あなたは今、過去に経験したことのある同程度の切傷を想像し、それをあたしに投影することによって一時的に痛覚を共感しているの。だから、この切傷の痛みがわかる」 「この言い方だと“経験”が絶対必要みたいに聞こえるけれど、実際はそうじゃない。実を言えば、この“経験”の方は大して重要じゃないの。 「なぜなら、相手と同じ経験をしたことがなくたって、過去に自分が経験したことのある“他の類似した経験”を相手に投影すればいいだけの話なのだから。十二分に用は足りるわ。 「つまり、マザーボードである“痛覚”さえあれば、後はいくらでも勝手がきく。そのことはわかった?」 私は頷いた。 多少こんがらがりはしているが、なんとか理解出来た。 これは、生理痛を使って例証してみればわかりやすい話だ。 女性固有の苦しみである生理痛を、男性である私が経験するのは身体の構造上不可能なことであるが、彼女の言うマザーボードである“痛覚”さえあれば、相手の眉をしかめた顔、お腹をさする動作などを見て 今までに自分の経験したことのある、例えば腹痛などの痛みを想像し、それを相手に投影することによって、想像上ではあるが、一時的に生理痛の苦しみを共感することが出来る。 69 :私は人がわからない ◆lSx6T.AFVo :2010/06/28(月) 14 31 41 ID Gejk2pPM 他者との痛覚共感。 彼女が言っているのは、おそらくそういうことだろう。 けど―― 「それがなんだって言うんですか?」 話はわかるが、言いたいことがわからない。 寓話のつもりで話しているのなら、何かしらの教訓や諷刺があるはずだ。 「相手を理解するというのも、それと同じことなの」 斎藤ヨシヱの論説は続く。 「つまり、今言ったことを高度に応用させたものが他者を理解するということなのよ。自分の持っている“感情”を相手に投影し、共感する。簡素に言ってしまえば、そういうことになるわね。 「だから、そのセオリーでいけばおかしいのよ。“感情”があるのに、人がわからないというタロウ君が。 「さっきも言ったけど、大元の“感情”さえあれば、個人差はあるけれど、それなりに他者を理解することは出来るわ。普通、あなたほどの異常者は生まれない。 「“感情”があるのに人がわからない。タロウ君はそう言うけど、あなたはこれを矛盾と言わずに何と言うのかしら」 斎藤ヨシヱはそう言って、貶るように私を見た。 その瞳には絶対の自信を感じる。 彼女は本当に自分に自信がある人なんだな、と思った。 しかし、彼女のそれは、少し盲目的過ぎる気がした。 斎藤ヨシヱは間違っている。私はそう確信する。 確かに、彼女の言うことはそれらしく聞こえた。私自身、ふむふむと頷き返してしまった程だ。 けど、それは只それらしく聞こえただけに過ぎない。 なぜなら、彼女は私に心が無いということを前提に話を進めていたからだ。 私には心がある。 その反例が存在する時点で、まず話の前提自体が成立していないのだ。前提が崩壊しているなら、論理も崩壊している。斎藤ヨシヱの見解も、一笑に付すべきものであるのに違いはない。 独断と偏見に満ちた教条主義的な考え。 はっきり言って、先輩は間違っています。 私が一言、そう言ってしまえばいいのだ。 70 :私は人がわからない ◆lSx6T.AFVo :2010/06/28(月) 14 33 28 ID Gejk2pPM そう思っているのに、なのに―― 私は何も言えなかった。 理由はわかっている。 心の奥底で、彼女の言葉に納得してしまっている自分が居るからだ。 きっと、その時点でもう駄目なんだろうな。 認めたくはないが、私も異常者なのかもしれない。 「それでも、私にはちゃんと心があります」 そう言う私の声も、どこか力弱く感じた。 それから、気まずい沈黙が流れた。 いや、それは思い違いだろう。 気まずいと感じているのはきっと私だけだ。斎藤ヨシヱは、そういうことを気にするような人ではないし。 そんな彼女が口を開いたのは、唐突だった。 「さっきはああ言ったけど、あなただって、もしかしたら誰かと付き合えるかもしれないわよ」 そう言う斎藤ヨシヱの声には、幾らかの親しみが感じられた。どうやら、彼女なりにフォローしてくれているらしい。人を慰めるなんて、斎藤ヨシヱにしてはかなり珍しいことだった。 「そもそも人間というのは社会に適応するための表明的な人格、所謂ペルソナを着けて生きている。そのくらいは知っているわね? 「それを踏まえて言えば、恋愛なんてのは所詮、互いのペルソナを好き合っているのに過ぎないのよ。見ているのは相手の仮面だけ、中身なんて誰も見ちゃいないわ。 「だから、タロウ君も仮面を着けてしまえばいいのよ。視界を確保する穴さえ塞いでいるような分厚い仮面をね。いえ、あなたの場合は仮面どころか、甲冑でも着けなきゃ駄目でしょうけど 「でもタロウ君、忘れないで。嘘っていうのはつくのは簡単だけど、つき続けるのは至難の業よ。あなたは嘘に綻びが生まれぬよう、常に最大限の注意を払わなくてはいけない。 「幸い、タロウ君は決して容姿が良い方じゃないけど、壊滅的ってほどでもないし、あなただって頑張れば――」 と、斎藤ヨシヱは、何故かそこで一度言葉をつぐんだ。 それから独り言のように、ぶつぶつと呟き始める。 「いや……でも、タロウ君だしな……しかし……うまく騙せば……けど……やっぱり……厳しいか?………………」 そして、遂に何も言わなくなった。 フォロー失敗。 なんだかなあ。人を慰めるなんて、慣れないことをするからだよ。 71 :私は人がわからない ◆lSx6T.AFVo :2010/06/28(月) 14 35 01 ID Gejk2pPM しかし、斎藤ヨシヱはやはり泰然自若としていた。 「まあ、いいじゃない彼女なんか出来なくたって。タロウ君は今の所はまだ、クラスでうまくやれているのでしょう?だったらまずは、その奇跡に感謝しなくちゃ。そもそも、あなたが恋人だなんて高望みしすぎなのよ」 「そうかもしれませんね」 と言いながら、私は出された湯呑みに手を出していないことに気づき、ぐいっとそれを飲み干した。 お茶は既にぬるくなっていた。 「話は変わるけど」 斎藤ヨシヱが聞く。 「どうして、突然こんなことを聞く気になったの?自分が誰かに好かれるかなんて、随分とあなたらしかぬ質問だったけど」 「ああ、それはですね。実を言うと、昨日私に人生初の恋人が出来まして」 「へー、よかったじゃない。さすが、たろうくんね」 「……信じてませんね」 「やあねぇ、信じてるわよ」 そう言って、斎藤ヨシヱはけらけらと笑った。 私は驚いた。 嘲笑以外の彼女の笑顔を見るなんて、果たして何時以来だろうか。 色々と辛辣な言葉を浴びせはしたが、やはり根っこの部分では相当に機嫌が良かったらしい。 何がそんなに嬉しかったのだろうか。 「さてと」 斎藤ヨシヱは近くで転がっていたソックスに手を伸ばし、それを身につけ始めた。 どうやら、今日はもうお開きらしい。 いや、今はそんなことはどうでもいいか。それよりも―― 私は彼女の下半身を凝視した。 ソックスを履く時、斎藤ヨシヱがいい感じに膝を曲げているので、でスカートの中が見えそうになっている。 見えそうになっているのだが、何故か見えない。 これは、おかしい。 私は首を傾げた。 さりげなく首を動かしたりして角度を変えてみたりするが、やはりどの位置から見ても、うまい具合に彼女の足先が邪魔になってどうしても見えない。 まるで全年齢対象のギャルゲーみたいだ。 私がそうやって下着を見ようと四苦八苦している内に、斎藤ヨシヱはソックスを履き終えてしまった。非常に残念だ。 72 :私は人がわからない ◆lSx6T.AFVo :2010/06/28(月) 14 36 49 ID Gejk2pPM 「それじゃ、片付けお願いね」 彼女はそう言って立ち上がる。 私のお茶を飲む飲まぬに関わらず、片付けに関しては私の仕事だった。 「わかりました」 私も立ち上がり、紫座布団を元の場所に戻してから、片付けを始める。 斎藤ヨシヱは、そんな私の横を通り抜けて、茶道室を出て行った。 私がせっせと湯呑みや急須を盆の上に乗せて、片付けに勤しんでいる時。 それは風に乗って、私の耳に届いた。 「それでもあたしは、タロウ君のことが大好きよ」 後ろを振りむく。 しかし、斎藤ヨシヱの姿は既に無く、パタリとしまる扉が見えるだけだった。 私はしばらく扉を見つめた後、ぽつりと呟いた。 「大好き、か……」 下手な嘘だな、と思った。 彼女が私に好意を抱くなど、万が一にも有り得ないことだった。 斎藤ヨシヱがこうやって私と会っているのは、彼女が私に興味があるからに過ぎない。 飽きてしまえば、何の未練や惜別の念も無く、さっさと棄てられてしまうだろう。 「それは嫌だな……」 私としても、たった一人の友人を失うことは非常に惜しいことだった。 彼女とはまだ、友達でいたい。そう思った。 けど、今はそれよりも考えることがあるか。 斎藤ヨシヱは私の疑問をひとつ解消してくれたが、そのおかげで再び、新たな疑問がまたひとつ生まれてしまった。 ――あなたみたいな人間が誰かに好かれるなんて、不可能よ。 彼女は、そう断言した。 別に斎藤ヨシヱの言っていることを全面的に肯定した訳ではないが、私が人に好かれ難いと言う点については同意出来る。自分のことは、自分が一番よくわかっていた。 しかし私は、現在進行形で私のことを好いてくれている少女を、一人知っている。 田中キリエ。 彼女はどうして、私のことを好きになったのだろうか。 畳に伸びる自身の影を眺めながら、しばらく考えてみたが、私にはやっぱりわからなかった。
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/49052.html
【検索用 ここていきるりゆうかわからない 登録タグ 2022年 VOCALOID こ ニコニコ外公開曲 式浦。 曲 曲か 歌愛ユキ 清楚mol】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:式浦。 作曲:式浦。 編曲:式浦。 絵:清楚mol(Twitter) 唄:歌愛ユキ 曲紹介 曲名:『ここで生きる理由がわからない』(ここでいきるりゆうがわからない) 歌詞 (概要欄より転載) ここで生きる理由がわからないよ でも死んじゃうのも怖いし 躁でいたい 君が生きる理由がわからないよ でも知っちゃうのも怖いし 今日が痛い コメント 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/soundtasukeai/pages/50.html
ADX2のバスがよくわからない DAWなどでバスを使う理由は音をまとめて音量コントロールやエフェクトをかけたい場合になります。 ADX2でも同じことができるのですが、少し違う点があります。 ADX2の場合、バスは「DSPバス設定」というところで追加できます。 追加できるのですが、作っただけだとそのバスの音がなりません。 バスにある「センド」からMaster(BUS0)への出力を設定することで音が出るようになります。 まず、バスマップというもので、あらかじめバスセンドの上から2番目の項目を「SE」、3番目の項目を「BGM」としておきます。 次に、キューを作っただけだとMaster(BUS0)へのセンドしか設定されていません。(初期状態で音が鳴るように設定されている) Master(BUS0)へのセンドがオフにしたくてもできないため、センド量を0.00にする必要があります。 バスで「SE」とか「BGM」とか作った場合、キューでの設定でSEバスへ出したい場合は Master(BUS0)へのセンド - センド量0.00 SE(BUS1)へのセンド オン センド量1.00 BGM(BUS2)へのセンド オフ - といった具合に変更します。 とりあえずリバーブをかけてみる はじめて使う人向けですが、 試しにリバーブをかけてみる手順です。 1. プロジェクトツリーの全体設定のDSPバス設定から DSPBusSetting_0を選択ダブルクリックし ミキサーの画面の右側余白で右クリックして、 バス[BUS1]を追加し 2. BUS1のエフェクトの右の「+」ボタンから、エフェクトにI3DL2リバーブを追加し 3. 下のセンドの右の「+」ボタンからにMasterOutを追加する 4. プロジェクトツリーの全体設定のバスマップのキュー設定用バスマップの BusMap_Defaultをダブルクリックして インスペクターでバス名1を[BUS1]にする 5.キューのインスペクターでバスセンド1を有効にする リバーブがかかればOK(かからない場合は1~4をチェック) 6.リバーブの量はキューのインスペクターでバスセンド1の量を調節する。
https://w.atwiki.jp/kreutzer_tensyo/
よくわからない辺境へようこそ。 とりあえず右がメニューです。好き勝手見ていってください。 一番下は・・・勇気がある人のみご利用ください。
https://w.atwiki.jp/terrachaosgaiden/pages/237.html
「まったく、けしからん!!」 かみなりさんは激怒していた。 政府や総理大臣の問題については日々報じられるニュースで聞いていたが まさかこんな馬鹿げた「バトルロワイアル」なるものを行うほど腐りきっていたとは知らなかった。 しかもあの時、国会で『見せしめ』と称して爆殺されたのは ――助けてぇ~!ドラえも~ん!!―― 野比のび太、よく彼の家の隣の空き地で遊んでいた少年だった。 弱虫で泣き虫のいじめられっ子で、しょっちゅう家のガラスを割っていたあの少年。 何度も叱り飛ばした彼がもうこの世にいないのだと思うと、もっと優しく接しておけばよかったと後悔が湧き起ってくる。 「……野比さんは、大丈夫だろうか」 のび太が殺された場には、母親の野比玉子の姿もあった。 かみなりさんがいた場所からはその様子を窺うことはできなかったが、我が子を目の前で殺されたのだ、大丈夫なわけがない。 最悪の場合、早まった行動をとることも充分に考えられる。 「こうしちゃおれん!早く野比さんを探さなければ……」 しかし玉子はどこにいるのか。 真っ先に思い浮かんだのは自分たちの住む練馬区だった。 玉子も、玉子以外の彼の知り合いも、他所に行くよりは自宅のある練馬区に帰る可能性のほうが高いだろう。 「ここは銀座だな。ならば近くに地下鉄の駅があるはずだが、こんな状況では動いているかわからん。 ……歩いて帰ることも検討せんとな」 とりあえず練馬に戻ることを決めたかみなりさんは、自分のデイバッグを見る。 「武器が入っていると言っていたが……」 帰るまでの道中で、この殺し合いに乗った者が襲い掛かってこないとは限らない。 自分の身を守れそうなものを探していたかみなりさんの指が、何かに触れた。 「なんだこれは?」 彼の指先が、カチリとスイッチらしきものを押した。 その途端…… 「わわわ、何が起きている!? 体が小さく……わわ、髪が、胸が、助けてくれぇー!」 「まったく、わけがわからないよ。あのマシンは何だったんだろう」 最終防衛システムから逃げ切ったことを確認すると、キュゥべえはひとりごちた。 スターバスターのカウントをしていた最終防衛システムだったが、キュゥべえが近くの建物の壁を通り抜けて 逃げると撃つのをやめた。最終防衛システムとしても今後のためにスターバスターはできるだけ温存しておきたかったので 逃げる者を撃とうとはしなかったのだ。 「あのマシン、この首輪、それに僕にかけられている制限、とても地球人の仕業とは思えないね。 もしかして僕ら以外の地球外生命体の仕業? ……まぁ、考えても仕方ないか」 システムから逃げる途中で、自分以外のインキュベーターとの交信の途絶、そして肉体転移の不能はすでに確認していた。 今のキュゥべえは、文字通り一度死んだら終わりの状態である。 「僕だって無駄死には避けたいからね」 彼は自分の死を恐れていなかった。 彼には恐怖という感情が、そもそも感情というもの自体が無いのである。 自分が消えても何の問題もない。別のインキュベーター端末が仕事を引き継ぐだけだ。 「僕が死んでも代わりはいるもの」 しかしまた、彼はただ自分の死を受け入れるつもりもなかった。 可能ならば自分に科せられている制限を外したい。 自分たちの活動の邪魔をする主催者によって科せられた制限。 その解除方法を見つけるのは、今後のインキュベーターの活動のためにも有益であろう。 それに彼はまだ仕事ができる。そして今の状況は、彼の仕事 『契約させて魔法少女にする』ことにうってつけだった。 いつ殺されるかわからない少女を契約させるのは、常より容易いだろう。 「制限を解除する方法はまだわからない。 とにかく今は一件でも多く契約を取って魔法少女を増やそう」 中央区内をさ迷うこと数十分、キュゥべえは漸く少女を見つけた。 この季節なのに長袖のセーラー服を着おり、眼鏡の奥ではややキツそうな瞳が光っている。 見たところ一人で、何か混乱しているらしい。 勧誘するにはまたとないチャンスだった。 「どうしてこんな姿になってしまったんじゃ……」 小さく柔らかな身体、長い黒髪、突き出た胸、整った顔に大きな瞳 美少女に変身してしまったかみなりさんは呆然と呟いた。 その原因は彼の支給品の一つ――『美女化マシン』だった。 誤ってマシンのスイッチを入れてしまったために、彼の肉体は中学生程度の少女に変身していた。 「これはのび太の友達のロボットの道具か!? けしからん!元に戻る方法は……」 慌てて同封されていた説明書を読むが、元の姿に戻る方法に関しては何も書かれていなかった。 「なんて不親切な説明書だ! ……とにかく服を何とかするか」 元の服がブカブカになってしまったため、止むを得ずこれも支給品であるセーラー服を着ることにした。 着たくなかったのだが、他に着るものがないのだから仕方ない。 「他に入っているものは……この棒だけか」 ガックリしたかみなりさんの前に、一匹の獣が目の前に飛び出してきた。 「ねえ君、僕と契約して魔法少女になってよ!」 「ぬおおおおおおお!? 犬がしゃべった!? 妖怪か!!」 「ぎゅっぷい!」 「ひどいなぁ……いきなり殴りかかってくるなんて」 「す、すまん。いきなり話しかけられたので、つい」 「さっきといい今度といい、やっぱりいきなり声をかけるのはやめたほうがいいかな……」 「? それにしても、お前は一体何者だ? お前も殺し合いに参加させられたのか?」 「うん、それについてはね……」 頭にタンコブを作ったキュゥべえは、目の前の美少女――名前は「かみなり」というらしい――に 自分、そして魔法少女について掻い摘んで話した。もちろん契約に不利な話は黙っていたが。 それと併せて、先ほど自分が遭遇した最終防衛システムのこと、いきなり自分が攻撃されそうになったことも話した。 「その機械は本気で殺し合いをする気なのか!けしからん!」 かみなりさんは再び激怒した。殺し合いに乗った者がいるという事実に。 「でも今の君の武器では、とてもあのマシンは倒せないよ」 「ぬうぅ……」 「だけど!僕と契約すれば魔法で戦えるようになるし、体も頑丈になるんだよ。 そうすればあのマシンを倒すことだって出来るかもしれない。 だから僕と契約して魔法少女になってよ!」 自分が魔法少女になるなど、ついさっきまで男だったかみなりさんには考えられないことだった。 また、このキュゥべえとかいう獣はどうも怪しい。不要な品を法外な値で売りつけようとする悪質セールスマンと同じ気配を感じる。 しかし、その説明の中で一つ気になることがあった。 「その魔法少女になれば、どんな願いでも叶えられるのか?」 どんな願いでも叶えられるのなら、今すぐこのバトルロワイアルを終わらせることも可能だろう。 「う~ん。その事なんだけど……」 キュゥべえは嫌々といった素振りで、かみなりさんに主催者が彼によこした手紙を見せる。 そこには女性のものらしい達者な字で 『「バトルロワアルの中止」、「会場からの脱出」、「死者復活」、「首輪解除」、「主催者死亡」 といったバトルロワイアル全体に影響をもたらす願いは叶えられないよう制限してあります。ご了承ください。』 と書かれていた。 「これでは殺し合いをやめさせる事ができんではないか!」 「僕に怒られても困るんだけど…… でも、その他の願い事なら叶えられるよ!」 「その他の願い事か……」 かみなりさんはしばらく悩んだ後、呟いた。 「『元の姿に戻る』とか『年寄りになる』といった望みは叶えられるのか?」 「…………は?」 キュゥべえは言葉を失った。 随分長くこの仕事をやっているが、『年寄りになりたい』なんて願いを聞いたのは初めてだった。 「まったく、わけがわからない……」 「どうだ、叶えられるか!?」 「えぇー……」 もし仮に望み通りかみなりさんが老人になったとして、キュゥべえが欲しいのは少女の絶望のエネルギーである。 老人の絶望のエネルギーをもらったって嬉しくもなんともない。 「そういう願いもちょっと……」 「なんだ!何も叶えられないではないか! もういい!ワシは家に帰らせてもらう!」 殺し合いも止められない、元の姿にも戻れないなら他に叶えたい願いなどない。 かみなりさんはキュゥべえに背を向けて、駅の方向にさっさと歩き出した。 「あ!ちょっと待ってよ!」 キュゥべえは慌ててその後を追いかける。 「何の用だ。ワシは魔法少女など興味ない!」 「まあまあそう言わないで。 また後で叶えたい願いができるかもしれないし」 キュゥべえにとってかみなりさんは逃したくない獲物だった。 別の少女を見つけるには時間がかかるし、その前にまた最終防衛システムのような参加者に遭遇したら 今度こそ殺されるだろう。 それに殺し合いの中なら、遅かれ早かれ契約せざるをえない状況がやってくる。 「だから僕も君に同行させてよ」 「ふん、好きにしろ!」 そして一人の少女と一匹の珍獣は、銀座駅を目指して歩き始めた。 【中央区・銀座/1日目・日中】 【かみなりさん@ドラえもん】 [状態] 美少女化(外見年齢は中学1~2年生程度)、やや混乱、主催者に対する怒り [装備] ひのきのぼう@DQシリーズ、陵桜学園高校女子制服(冬服)@らき☆すた [道具] 基本支給品一式、美女化マシン@カオスロワオリジナル、元のかみなりさんの服 [思考・状況]基本 殺し合いには乗らない。 0 早く元の姿に戻りたい…… 1 とりあえず自宅のある練馬区に帰る。まずは銀座駅に向かう。 2 知り合い(特に野比玉子)と合流したい。 3 最終防衛システムを警戒。 4 キュゥべえは好きにさせておく。 ※最終防衛システムを殺し合いに乗っていると判断しました。 ※キュゥべえが語った魔法少女の話をあまり信じていません。 ※美女化マシンの使用回数制限、変身持続時間は後続の書き手にお任せします。 【キュゥべえ@魔法少女まどか☆マギカ】 【状態】頭部にダメージ小、自分が死ぬことを自覚済み 【装備】無し 【道具】基本支給品一式、ランダム品1~3・本人未確認 【思考】 基本 自分の制限の解除方法を探す バトルロワイアルを利用して魔法少女を増やし、制限が解除されるまで自分を守ってもらう(嘘はつかないが自分の不利になる事は言わない) 0 営業で一番大事なのは粘り強さだよ! 1 かみなりさんを契約させて魔法少女にする。 2 無駄死には可能な限り避ける。 3 最終防衛システムを警戒。 4 できれば巴マミと合流したい。 ※最終防衛システムを殺し合いに乗っていると判断しました。 ※かみなりさんが元々老年の男性だったことをまだ知りません。 【個人制限・特殊能力】 ※一度死ねば、肉体の復活はありません ※薄い壁を通り抜けることができます ※魔法少女契約は可能ですが、ロワ全体に影響をもたらす願い (会場からの脱出、死者復活、首輪解除、主催者死亡など)は不可能です ※魔法少女とのテレパシー会話距離は後続の書き手さんに任せます 支給品紹介 【美女化マシン@カオスロワオリジナル】 カオスロワ6期および8期に登場。 どんな生物でも美女・美少女化させてしまうマシン。 【ひのきのぼう@DQシリーズ】 その名の通りひのきで作られた普通の棒。 攻撃力は低い。 【陵桜学園高校女子制服(冬服)@らき☆すた】 特に変わった機能はない、普通のセーラー服。 冬服Ver.なので気温によっては着ていると暑苦しいかもしれない。 005:パルマーA「俺のことは(ry 投下順 007:二人の死神 005:パルマーA「俺のことは(ry 時系列順 007:二人の死神 初登場! かみなりさん 033 白い悪魔とピンクの悪魔 004 人間っていいな? キュゥべえ 033 白い悪魔とピンクの悪魔
https://w.atwiki.jp/wiki1_test/pages/4122.html
リスト aaaaaaaaaa 使い方がいまいちわからない これは一体どうやって使うんだろう まあ、少しぐらい試してみてもいいかな と思って少し書いてみる さてさて、どうなる事やら・・・ というか、他のモードで編集の方がよかったかな やっぱり、よくわからん font color="#990000" タグは使えるんかい? /font 一応試してみた